はじめに
「メヂカラ」という言葉をご存知でしょうか。'07年、ゲーム機でメヂカラをトレーニングするソフトが発売され一躍注目されるようになりました。テレビでCMが大々的に流されたので記憶に残っている方も多いと思います。これ以来、メヂカラが一躍注目されるようになり、眼もトレーニングできることが広く知られるようになりました。
私は長い間、スポーツと眼の研究を続けています。
研究の結果、スポーツでは視力とともにスポーツビジョンと呼ばれる「見るチカラ」が重要なことがわかってきました。サッカーやバレーボール、野球などをイメージしてください。速いボール、複雑で絶え間ない選手の動き……。日常生活にはないダイナミックな世界が展開されています。これを日々見ているスポーツ選手の見るチカラ=スポーツビジョンは当然ながら一般の人より優れています。
メヂカラとは、このスポーツビジョンと同じことです。スポーツに必要な眼のチカラのことを特別に「スポーツビジョン」と呼びますが、日常生活における眼のチカラを「メヂカラ」と呼んでいます。
私たちの生活でもいろいろな場面でメヂカラが関係しています。たとえば車の運転がいい例でしょう。対向車の動きをとらえ、速度を予測しながら信号や道路標識をチラッと見て、センターライン、歩行者、自転車などを眼の隅でとらえています。これら眼からの情報によってハンドルを切り、アクセル、ブレーキを踏みますが、眼からの情報が元になって操作していることを意識することはありません。
メヂカラは20歳頃をピークにして次第に落ちていきます。しかし、メヂカラはトレーニングによって向上させることが可能です。私の実験では、平均年齢55歳の中年女性も2ヶ月のトレーニングで20歳代まで戻ることができました。
本書は、メヂカラの衰えを実感する中高年にスポットをあて、エクササイズ形式によってメヂカラを最大限に伸ばせるように企画しました。メヂカラをアップさせ、日常生活を若々しく快適に過ごすためのサポートツールとして本書をご活用ください。
石垣尚男
スポーツと視覚、認知の関係についての研究を行なう。学生時代はバレーボール、その後、テニス、釣りなどに熱中。
著書は、単著に『スポーツと眼』(大修館書店)、『ボールが止まって見える』(スキージャーナル)。 共著に『スポーツビジョン』(ブックハウスHD)、『スポーツ視覚I・II』(NAP)、『スポーツ眼科』(共訳・NAP)ほか多数あり。
監修に『SPEESION』アシックス(株)、『ニンテンドーDS眼力トレーニング』任天堂(株)。 趣味は、渓流の毛バリ釣り“テンカラ”。 シマノインストラクターであり、テンカラに関する著書、ビデオも多数。
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